関係人口を増やせるか
九州国際大学非常勤講師
荒田英知 氏
荒田英知 氏
2014年に始まった地方創生では、人口減少に歯止めをかけようと全国の自治体が取り組んできた。しかし、東京一極集中を止めるには至らず、焼け石に水の状態だ。そこで注目されるようになったのが「関係人口」である。
これまで、地域の定住人口に加えて、観光などで地域を訪れる交流人口を増やすことが活性化の有効策と考えられてきた。ところが、近年のインバウンド急増で、地域によっては観光客があふれて住民生活に支障をきたす例も生じている。
関係人口は、交流人口よりも地域に対する関わりが強いことが特徴だ。ふるさと納税やクラウドファンディングを通じて地域に関心を持ったり、ボランティアやイベントで地域に直接関与することがその典型だ。いわば地域のファンとして、繰り返しその地域を訪れ、ゆくゆくは2拠点居住や移住につながる可能性もある。また、都市にいながら地域の応援を続けることもできる。
自治体としては、地域に関心を寄せる人をどう増やすかが問われてくる。ふるさと納税は地域の「もの」に興味を持ってもらう好機となったが、さらに有機農業や地場産業、スポーツなど地域ならではの「こと」を発信して、都市住民の関心とマッチングさせていくことが重要になるだろう。地方創生を果たすには、地域の外に向けたプロデュース能力の強化が欠かせない。
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1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2017年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。