日本の問題

有事にこそ実力が試される

大阪経済大学客員教授・経済評論家
岡田 晃 氏

新型コロナウイルスの感染が世界に拡大し、歴史的なパンデミックにまで発展した。

当初、日本政府のクルーズ船対応やPCR検査のあり方、さらにはイベント自粛要請、臨時休校などの政府方針、特に安倍首相に対し多くのメディアが批判していたが、その後の展開を見ると、政府の対応が感染拡大抑制に一定の効果を上げ、対策が大筋において適切であったことが明らかになってきた。

北海道や大阪府、和歌山県の知事らも独自の判断で迅速な対応を行い、感染抑止に一定の効果を上げることができたといっていいだろう。

国や地方自治体に限らず、企業や組織のトップ、あるいは組織そのものの本当の力はこうした有事の際にこそ試されるものだ。パンデミックという危機を乗り越えるために、持てる力を発揮していきたい。こういう時こそ、トップがリーダーシップを発揮し、組織のメンバー全員が「ワンチーム」となって力を結集することが必要だ。

と同時に、ピンチをチャンスに変える発想の転換も大事だ。経済的な影響は甚大で先行きも不透明だが、逆にこの機会に、たとえば在宅勤務を広げて平時においてもそれを継続し、働き方改革を推進する、あるいは"コロナ収束後"を見据えて新しい企画や戦略を練るといった、前向きな取り組みを今のうちから準備しておいてはどうだろうか。

2020年3月30日

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岡田 晃氏

1947年生まれ。
日本経済新聞社産業部記者、編集委員、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」マーケットキャスター、経済部長、WBSプロデューサー、テレビ東京アメリカ社長などを歴任し、2006年に経済評論家として独立。同年大阪経済大学客員教授にも就任。

岡田 晃(おかだあきら)