日本の問題

日本を変えた「アベノミクス」

大阪経済大学客員教授・経済評論家
岡田 晃 氏

安倍首相が辞任を表明した。海外の多くの首脳から首相を称賛し、辞任を惜しむコメントが寄せられた。海外からこれほど高い評価を受けた日本の首相はあまり例がない。日本のメディアは安倍首相に批判的だが、私は、積極外交によって日本のプレゼンスを高めたこと、「アベノミクス」によって景気を回復させたことなどを正当に評価したい。

では日本経済はアベノミクスでどう変わったのか。日経平均株価は第2次安倍内閣発足の少し前の8,000円台から一時2万4,000円台へ上昇、為替は1ドル=70円台から一時120円台まで円安となった。雇用も大幅に改善し、訪日外国人数は2012年の約836万人から2019年の約3,188万人に増加。上場企業の業績は2018年3月期までほぼ毎年のように最高益を更新した。

重要なことは、こうした数字の変化だけでなく、日本経済に構造的変化をもたらし、競争力を回復させてきたことだ。バブル崩壊以後の長期低迷から脱し、経済再生に向けて流れを変えたのである。出口の見えなかったトンネルの前方に光が見えるところまで、引っ張ってきたといえる。

しかし、その光はコロナ禍でまた遠のいている。後継政権の最大の任務は「新型コロナウイルス感染拡大防止と経済回復の両立」だが、その中でアベノミクスを継承・強化する形で、中長期的な経済再生戦略を改めて構築することを期待したい。

2020年9月14日

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岡田 晃氏

1947年生まれ。
日本経済新聞社産業部記者、編集委員、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」マーケットキャスター、経済部長、WBSプロデューサー、テレビ東京アメリカ社長などを歴任し、2006年に経済評論家として独立。同年大阪経済大学客員教授にも就任。

岡田 晃(おかだあきら)