日本の問題

「橋」が受難の時代に

九州国際大学非常勤講師
荒田英知 氏

11月18日、岐阜県揖斐(いび)郡揖斐川町で利用されなくなった橋が爆破され、その模様は全国ニュースでも報道された。長さ約137m、重さ約240tの新川尻橋は一瞬にして落下。残骸は重機で撤去された。通常の解体工事より低コストで安全性も高いと判断したのだという。

近年、自然災害で橋が被災する例が続出。そのひとつ、2016年の熊本地震で谷底に崩落した長さ約206mの阿蘇大橋は2021年3月に復興のシンボルとして新橋が開通する。しかし、このように再建できる橋は今後は限定的にならざるをえない。国土交通省の集計によれば、全国に約72万ある橋のうち建設後50年以上経過するものが、2020年の30%から2030年には55%に急増する。すでに2018年時点で、自治体が管理する2,901の橋で何らかの通行規制が行われている。

これらすべてを架け替えたり修繕したりするのは到底無理で、撤去すらできずに通行止めのまま放置される橋が続出する光景が脳裏に浮かぶ。安全性に加え、利用状況や地域特性を勘案した取捨選択を、行政と地域住民がどのように合意形成していくかの道筋はまだない。

橋と同様、高度経済成長期に造られた各種の公共インフラは、半世紀が過ぎ老朽化が進む。それらをどう維持・管理していくかは、直視したくない難問だが、橋の爆破が逃れられない現実を私たちに突き付けた。

2020年12月21日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2017年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏