日本の問題

サブスクリプションの拡大

学習院大学国際社会科学部教授
伊藤元重 氏

「サブスクリプション」という言葉を聞くことが多くなった。代表サービスのひとつのNetflix(ネットフリックス)なら、毎月1,000~2,000円程度の定額会費を払えば、映画などのコンテンツが見放題となる。雑誌の定期購読と同じで、コンテンツを見るごとに支払いをするのではなく、毎月自動的にサービスが提供される定額課金サービスの一種だ。

このサブスクリプションが、自動車やファッション用品のような消費財から、カフェなどのサービス分野にまで幅広く広がっている。顧客の利用頻度が上がることに加え、毎月一定額の収入が期待できるというので、商売上いろいろと都合がよい。顧客の方も一定の会費で何度も利用できるというお得感がある。毎回手続きをしなくても自動的にサービスが提供されるという便利さもある。

デジタル技術が進歩し、スマートフォンなどで気軽にネットワークにアクセスできるようになったことも、こうしたサービスが増えるきっかけになった。情報がつながることにより、顧客とのあいだで継続的かつ濃厚な関係を構築しやすくなったことも魅力だろう。多くの企業が、自分たちの商品やサービスで、サブスクリプション型のビジネスができないか模索しているはずだ。新型コロナ危機で「巣ごもり生活」の人が増えていることも、サブスクリプションがさらに広がっていくきっかけになるかもしれない。

2021年1月18日

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伊藤元重 氏

1951年生まれ。
米国ヒューストン大学経済学部助教授、東京大学経済学部助教授などを経て1993~2016年東京大学の経済学部と大学院経済学研究科の教授を歴任。2007~2009年は大学院経済学研究科研究科長(経済学部長)。現在、学習院大学国際社会科学部教授、東京大学名誉教授。
【伊藤元重研究室】

伊藤元重(いとう もとしげ)