行政改革への期待
慶應義塾大学名誉教授
竹中 平蔵 氏
竹中 平蔵 氏
行政組織のあり方や運営の改革、すなわち行政改革はこれまで何度か行われてきた。必要なのは、大規模な改革を今こそ実行することだ。岸田文雄首相はデジタル行革を実行するため、今回その担当大臣を設置したが、重要なのはより本格的な行政組織の見直しだ。
行革の歴史は古い。高度成長初期の1961(昭和36)年に第一次臨時行政調査会(臨調)が始まっている。その後1981(昭和56)年には第二次臨調(いわゆる土光臨調)が始まり、これが国鉄民営化などを含む中曽根行革へとつながった。記憶に新しいところでは2001年に実行に移された中央省庁改革(橋本行革)がある。このように見てくると、おおむね20年ごとに行政の仕組みが大きく変化してきたことに気付く。
橋本行革では改革の大きな方向が決められた。それは、官僚主導ではなく、首相官邸主導の政策に転換するため、その仕組みをつくること。具体的には内閣官房や内閣府を設置することだ。しかし今、その機能が低下している。内閣官房に各省庁から多数の官僚が派遣されて肥大化した結果、首相官邸の意思決定が希薄化しているのだ。
前回の橋本行革から、すでに二十数年。今こそ、デジタル行革を超えた本格的な行政改革を行うべき時だ。もしも解散総選挙が近く行われるのなら、与野党ともにこうした問題意識を全面に掲げてもらいたい。
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(2023年10月2日)
1951年生まれ。
ハーバード大学客員准教授、慶應義塾大学教授などを経て2001年の小泉内閣発足後、経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、郵政民営化担当大臣などの閣僚を歴任。慶應義塾大学名誉教授。政府の各種会議のメンバーも務める。
【竹中平蔵公式ウェブサイト】