日本の問題

半導体に注がれる熱視線

経済ジャーナリスト
大西良雄 氏

新型コロナウイルスの感染拡大が一段落し、半導体需要が活発化してきた。5G(第5世代移動通信システム)通信網や5G対応スマートフォン、巣ごもり消費の恩恵で盛り上がったゲーム機器向け、リモートワーク用のノートパソコン需要が膨らみ、これらに対応したデーターセンター大増設の需要が加わった。

さらに自動車販売の回復が半導体不足を加速。自動車メーカーの中には半導体不足から減産を余儀なくされるメーカーも出ている。今後は人工知能(AI)や自動運転の需要も予想され、半導体は構造的な不足が常態化するという予測も出ている。日本ではエッチング(描画)装置、ウェハ洗浄装置、切断装置、マスク検査装置、露光装置といった、世界トップレベルにある半導体製造装置の需要が活発化している。

一方、半導体製造の分野では世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が向こう3年間で約11兆円(日本円換算)規模の設備投資に乗り出す。また、韓国のサムスン電子も2030年までに約12兆円(同)を投資する計画を発表している。

こうしたなか、半導体製造基盤の強化が経済安全保障上の課題に浮上。日本でも新工場建設の一部に国家資金が投入されるケースが出てきた。台湾のTSMCがソニーグループの参加を得て熊本県に建設する予定の半導体工場に対し、日本政府が多額の補助金を投入する見通しだ。

2021年11月29日

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大西良雄 氏

1945年生まれ。
上智大学経済学部卒業後、東洋経済新報社入社。記者を経て、「週刊東洋経済」編集長、取締役出版局長、同営業局長、常務取締役第一編集局長を歴任。2006年に退任後、経済ジャーナリストとして独立。早稲田大学オープンカレッジ講師も務める。

大西(おおにし) 良雄(良雄)氏