日本の問題

新型コロナ禍でも好業績の秘密

大阪経済大学客員教授・経済評論家
岡田 晃 氏

上場企業の2021年4-9月期決算発表が続いているが、予想以上に好業績の企業が多くなっている。2021年3月期は全上場企業(金融・保険を除く)の当期純利益合計額が前期比約27%の増益だったが(東証集計)、この調子でいけば2022年3月期は約45%の増益となる見通しだ(11月7日時点の日本経済新聞の集計)。そのとおりなら利益額は新型コロナ禍前の水準を上回り、過去最高益を更新することになる。

もちろん新型コロナ禍で苦しんでいる企業も少なくない。にもかかわらず、上場企業全体ではなぜこれほどの好業績を実現できているのか。そこには、単に「巣ごもり需要」だけではない3つの"秘密"がある。

第1は、各企業が長年の経済低迷やリーマン・ショックなどを乗り切るため、必死に構造改革を進めてきたこと。第2は、独自の技術力強化や事業の差別化などで収益力を高めてきたこと。そして第3は、それらの成果をもとに今回の経済危機に迅速に対応する力を発揮できたことだ。

この「3つの秘密」は、今後の「アフターコロナ時代」にも生きてくるものだ。そのうえで、新常態への対応、 DX(デジタル・トランスフォーメーション)化、グローバル需要の取り込みなどを進めることが不可欠となる。幸い、新型コロナウイルス感染の減少が続き、収束に向けて明かりが見えてきた。まだ楽観はできないものの、希望をもって前へ進みたい。

2021年11月15日

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岡田 晃氏

1947年生まれ。
日本経済新聞社産業部記者、編集委員、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」マーケットキャスター、経済部長、WBSプロデューサー、テレビ東京アメリカ社長などを歴任し、2006年に経済評論家として独立。同年大阪経済大学客員教授にも就任。

岡田 晃(おかだあきら)