日本の問題

新政権への期待

慶應義塾大学名誉教授
竹中 平蔵 氏

リーダーシップの重要性はしばしば指摘されるが、同様に重要なのが「フォロワーシップ」だ。リーダーを選んだ人々にはリーダーへの提言や批判も含めて主体的に行動し、組織の利益を最大化する責任がある、これがフォロワーシップだ。総選挙の結果を受けた新政権にはしっかり頑張ってほしいし、私たち有権者も様々な形でフォローしていければと願う。さて、そのうえで気になるのが私たちは何を支えれば良いのかが見えにくいことだ。要因は2つある。

第1は、解散前に首相だった自民党総裁は総裁選で「所得倍増」を打ち上げたが、総選挙の党の公約にこの表現はない。また「金融所得課税」に言及したが、それも後退した。

第2は、自民党の公約に並んだ「労働分配率向上」、「分厚い中間層再構築」などの政策だ。野党第1党だった立憲民主党の公約にも「所得再分配の強化」があった。だが、そのための具体的政策が見えない。一般に、成長政策(規制改革などの改革や減税)は、理論的な回答を示すのは比較的容易だが、実行が難しい。しかし、再分配政策は論理的な議論そのものが難しく、中身が問われる。

世界は今、"第4次産業革命"のまっただ中で、日本にも大改革が必要だ。しかし、解散前の首相の所信表明には「改革」の2文字がなく、その代わり「新しい資本主義」という言葉が何度も登場した。それが「大改革」という意味であってほしいと願う。

2021年11月1日

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竹中平蔵 氏

1951年生まれ。
ハーバード大学客員准教授、慶應義塾大学教授などを経て2001年の小泉内閣発足後、経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、郵政民営化担当大臣などの閣僚を歴任。慶應義塾大学名誉教授。政府の各種会議のメンバーも務める。
【竹中平蔵公式ウェブサイト】

竹中平蔵(たけなか へいぞう)