日本の問題

空き家課税を強化へ

大阪経済法科大学
経済学部教授
米山秀隆 氏

空き家対策として2015年に空家等対策特別措置法が施行され、問題のある空き家など(特定空家等)の所有者に対し、指導、勧告、命令、代執行(強制的取り壊しなど)の措置が講じられることになった。この法律により、空き家所有者に適正管理や早期処分を促すなど、一定の効果はあったと考えられる。法律と併せて実施されたのが課税強化である。

住宅が建っている場合とそうでない場合では、建っている場合の方が敷地に対する課税が最大6分の1に軽減されている(住宅用地特例)。課税強化は「特定空家等」に認定された空き家などで、所有者が勧告に従わない場合、この軽減措置が受けられなくなるというものである。

この効果もあったと考えられるが、これでも緩いという意見はあった。所有する空き家などが「特定空家等」に認定されたとしても、勧告を受けない限り、課税は強化されないからである。つまりは勧告にならない程度に管理していれば、税制上のペナルティはないということになる。

これに対し、国は「特定空家等」になるまで状態が悪化していない場合でも、管理不十分の場合、軽減措置を解除する検討を行っている。自治体ではすでに京都市や神戸市がこのような対応をとっており、京都市は更に空き家に対する新税も準備している。空き家所有者に対する税制上のプレッシャーは、着実に強化される方向にある。

2023年1月23日

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米山秀隆 氏

1963年生まれ。
野村総合研究所、富士総合研究所、富士通総研などを経て2020年9月から現職。専門は住宅・土地政策、日本経済。主な著書に、『捨てられる土地と家』(ウェッジ)、『縮小まちづくり』(時事通信社)、『限界マンション』(日本経済新聞出版社)など。
【米山秀隆オフィシャルサイト】

米山(よねやま) 秀隆(ひでたか)氏