東証再編を機に企業経営改革を
大阪経済大学客員教授・経済評論家
岡田 晃 氏
岡田 晃 氏
東京証券取引所の新3市場での取引が4月にスタートした。従来の1部、2部、マザーズ、およびジャスダックの市場区分を、プライム、スタンダード、グロースの3市場に再編したもので、中でもプライムが目玉だ。
東京市場の株式時価総額はかつてのバブル期には世界の4割を占めていたが、今ではわずか5%と地盤沈下が著しい。このため、世界中の投資家からの資金を呼び込む狙いで、上場基準の厳しいプライム市場創設などの再編を実行したのだ。
ただ投資家からの評価は今ひとつ。従来の1部上場からプライムに移行した企業が84%に達したことなどから「看板を架け替えただけ」との声が聞かれる。
確かに、その側面は否定できない。それでも今回の市場再編が、企業の経営改革や市場活性化につながる可能性があることを指摘したい。
たとえばプライム上場維持の基準が、流通株式の時価総額100億円などとなった。これは、従来の東証1部よりかなり高いハードルだ。株価下落が続けば上場を維持できなくなるわけで、企業は中長期的な成長持続と企業価値の向上、つまり投資家から評価される経営がこれまで以上に求められるのである。
そのためには事業再構築や企業統治強化など不断の経営改革が不可欠だ。それが市場の活性化にもつながる。東証のさらなる制度改革にも期待したい。
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1947年生まれ。
日本経済新聞社産業部記者、編集委員、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」マーケットキャスター、経済部長、WBSプロデューサー、テレビ東京アメリカ社長などを歴任し、2006年に経済評論家として独立。同年大阪経済大学客員教授にも就任。