日本の問題

分断された世界における協力の姿

慶應義塾大学名誉教授
竹中 平蔵 氏

1月16日の週に世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議2023)が開かれた。今回の本コラムのタイトルは今年の会議の統一テーマだ。

今年の特徴のひとつとして、先進国が集まるG7の存在感が薄かったことが挙げられる。G7議長国である日本の岸田文雄首相がバイデン大統領との首脳会談日程との関係で出席できなかったこともその要因だ。

そうした中で圧倒的な存在感を示したのがG20議長国であるインド。会議では「グローバル・サウス」という言葉が飛び交った。これは、一般にG7でも中国・ロシアでもない、アフリカや南米を含む新興国を意味し、そのリーダーとしてインドがクローズアップされているというイメージだ。今年中に人口が中国を抜いて世界一になると予測されていることもインドの存在感を大いに高めている。重要なポイントは、気候変動に対応するためにはこのグローバル・サウスを巻き込まなければ意味がない、という点だ。

実は、従来のダボス会議では、日本の存在感も高かった。今回は河野太郎・西村康稔・後藤茂之の3大臣と元環境大臣の小泉進次郎氏が出席。日本の立場を明確に主張するシーンは印象的だった。米中対立の中で日本に対する世界の期待は相対的には高まっている。この期待にどう応えるのか…。残念ながら国内の政策論争を聞いていると、世界との大きなギャップを感じてしまう。

2023年2月20日

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竹中平蔵 氏

1951年生まれ。
ハーバード大学客員准教授、慶應義塾大学教授などを経て2001年の小泉内閣発足後、経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、郵政民営化担当大臣などの閣僚を歴任。慶應義塾大学名誉教授。政府の各種会議のメンバーも務める。
【竹中平蔵公式ウェブサイト】

竹中平蔵(たけなか へいぞう)