日本の問題

私大経営の危機と大学再編

経済ジャーナリスト
大西良雄 氏

4年制私立大学のうち定員割れ大学は約4割(2017年)に上る。進学率が上がり続けても18歳人口が大幅に減少するため、今後も定員割れが拡大する見通しだ。

日本私立学校振興・共済事業団によると、私立大学を運営する全国660法人のうち112法人(約17%)が経営困難な状態にあり、うち21法人は2019年度末までに破綻する恐れがあるという。特に地方の中小規模の私大の経営が厳しい。

文部科学省は東京23区の定員増を10年間禁止し、地方大学を支援する一方、定員割れ、連続赤字が5年程度、教育の質が低い学校法人に対し私学助成金を減額するなどして経営改善を強く促す。そのうえで経営改善が難しい私大に対しては破たん処理、あるいは他大学との合併再編という抜本策を含む大学改革案を今夏までに策定するという。

私大再編は地方の国公立大学への統合、他私大との統合、学部譲渡などの方法が考えられる。だが教員や学生の質、カリキュラム、設備、授業料など大きな格差がある大学間の再編成には大きな困難が伴うことが予想される。

2018年3月12日

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大西良雄 氏

1945年生まれ。
上智大学経済学部卒業後、東洋経済新報社入社。記者を経て、「週刊東洋経済」編集長、取締役出版局長、同営業局長、常務取締役第一編集局長を歴任。2006年に退任後、経済ジャーナリストとして独立。早稲田大学オープンカレッジ講師も務める。

大西(おおにし) 良雄(良雄)氏