日本の問題

専門職大学

PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏

実践的な職業教育を行い、即戦力となる人材育成を目指す「専門職大学・短大」を創設する改正学校教育法が今国会で成立した。新たな高等教育機関の制度化は1964(昭和39)年の短期大学以来となる。

専門職大学には、第四次産業革命の進展と国際競争の激化に伴い、「高度な実践力と豊かな創造力をもった専門職業人材の養成」が期待されている。文科省の資料には、観光・農業・情報など、今後の成長分野を見据えた人材像が例示されている。

この秋にも設置申請が始まり、2019年4月に開学する予定だ。主に既存の大学や専門学校からの移行が想定されている。教育カリキュラムは企業との連携を重視し、インターンシップなどの職業実習が卒業単位に大きな比重を占める。教員も実務経験者を一定割合採用することを求めている。

改正の背景には、大学をめぐる「2018年問題」がある。この年以降、18歳人口がさらに減少し大学経営を直撃するからだ。今後は学生が集まるか否かで大学の二極化拡大が避けられない。全国に779ある大学のうち相当数が、生き残りをかけて職業教育に舵を切ることになりそうだ。

2017年7月24日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏