日本の問題

増加する耕作放棄地

富士通総研 上席主任研究員
米山秀隆 氏

2015年の農業就業人口は約210万人、平均年齢は66.4歳となった※。20年前と比べると農業人口はほぼ半減し、平均年齢は約7歳上昇した。また、過去1年以上作付けしていない耕作放棄地は、約42.4万haと過去最高になった。これは富山県の広さにほぼ匹敵する。1経営体あたりの経営耕地面積の平均は約2.5haと、5年前に比べて約0.3haの増加にとどまり、農地集約は道半ばである。借り上げた農地を意欲的な生産者に貸し出す農地集積バンクも、2015年度の貸付実績が約8万haと、あまり実績は上がっていない。

このため、2016年度からは、農地集積バンクを通じて10年以上貸し出せば固定資産税が3~5年間減額される仕組みが導入される。また、2017年度からは、耕作放棄地の固定資産税が約1.8倍に引き上げられる。ただ、農地の固定資産税は10aあたり1000円程度と安く、この程度の引き上げでは効果はないとの指摘は多い。また、対象となる農地も、農業委員会が農地集積バンクと協議するよう勧告したものに限られる。政策の方向性は良いが、その実効性が問われる。

※出典:農林水産省「2015年農林業センサス」

2016年4月4日

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米山秀隆 氏

1963年生まれ。
野村総合研究所、富士総合研究所を経て1996年富士通総研。2007~2010年慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員も務める。専門は、日本経済、経済政策、住宅・土地政策。
【富士通総研・研究員紹介】

米山(よねやま) 秀隆(ひでたか)氏