ふるさと納税
PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏
荒田英知 氏
個人が任意の自治体に寄付をすると、それに応じた額が住民税から控除される「ふるさと納税」が広がりを見せている。本来、住民税は居住自治体が提供する行政サービスの対価とされるが、都市部に偏在する税収を、個人の意思で地方に還流できる制度として2008年にスタートした。
2011年には東日本大震災の被災地支援目的での活用が急増。その後、2013年ごろから返礼品として地元の特産物を贈る自治体が増えたことで人気に火がついた。「お得」な自治体には申し込みが殺到し、メディアでもたびたび話題となっている。
2014年度の寄付額で全国3位の北海道上士幌(かみしほろ)町には牛肉などの特典に約9億円が集まった。町税収入は約6億円なのでその大きさがわかる。町はふるさと納税を原資に、認定こども園を10年間無料にした。制度の趣旨にかなう施策だ。
2015年度からは控除枠が1割から2割に拡大。確定申告が不要な特例の導入やクレジット決済の普及も相まって、前年度を上回る勢いだ。過熱気味ともいわれる返礼品競争から、今後は使い道を競い合う次元に深化することが求められる。
2016年2月15日
- 円安局面の終焉
(2015年4月6日) - 日本の格差問題は要注視
(2015年4月13日) - 上がらない実質賃金
(2015年4月20日) - クールジャパン
(2015年4月27日) - 石油価格下落のインパクト
(2015年5月4日) - インバウンド効果で消費に春
(2015年5月11日) - 貿易黒字は定着するか
(2015年5月18日) - 「IT」から「IoT」へ
(2015年5月25日) - 2015年の景気回復
(2015年6月1日) - 内需型中小企業の海外進出
(2015年6月8日) - 急増する空き家
(2015年6月15日) - ニッポンの創造性
(2015年6月22日) - 減速する中国経済
(2015年6月29日) - 円安効果のプラスとマイナス
(2015年7月6日) - 遅れる在庫調整
(2015年7月13日) - 低金利時代
(2015年7月20日) - 日本のレストランがスゴイ
(2015年7月27日) - 「自治体半減」の危機
(2015年8月3日) - 物価の「基調」
(2015年8月10日) - 日本の駅がスゴい!
(2015年8月17日) - 高成長が続くインド経済
(2015年8月24日) - 中国経済を覆う靄
(2015年8月31日) - コンパクトシティ化
(2015年9月7日) - マンガ大国・ニッポン
(2015年9月14日) - AIIBとADB
(2015年9月21日) - 米利上げの功罪
(2015年9月28日) - 生産の国内回帰
(2015年10月5日) - 地方創生
(2015年10月12日) - ヨーロッパの構造問題
(2015年10月19日) - 増加する海外M&A
(2015年10月26日) - 一億総活躍
(2015年11月2日) - 格差社会アメリカ
(2015年11月9日) - 分譲マンションの老朽化
(2015年11月16日) - 公共施設老朽化
(2015年11月23日) - ブライト企業
(2015年11月30日) - 日銀の金融緩和のEXIT
(2015年12月7日) - 慎重な企業行動
(2015年12月14日) - 再生可能エネルギー
(2015年12月21日) - アメリカの「タイヤ伝説」
(2015年12月28日)
- BRICS諸国の低迷
(2016年1月4日) - 急増する民泊
(2016年1月11日) - 観光立国
(2016年1月18日) - 経済予測の的中率
(2016年1月25日) - 低成長・低インフレ時代
(2016年2月1日) - 控えめな春闘の要求水準
(2016年2月8日)
1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。