日本の問題

地方創生

PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏

低い出生率と大都市への人口移動のすう勢がこのまま続けば、2040年には全国にある1748市区町村のうち約半数の896市区町村が「消滅可能性都市」になるとする人口推計結果が、2014年5月に日本創成会議から発表され注目を集めた。

政府は危機感を強め、2014年秋の臨時国会は地方創生が主題となった。年末には「まち・ひと・しごと創生法」が成立し、2060年に総人口1億人を維持するための国の「長期ビジョン」と、向こう5年間に取り組む「総合戦略」がまとめられた。

これをもとに、全国の都道府県と市区町村が、地方版の「人口ビジョン」と「総合戦略」を2015年度中に策定することが努力義務とされた。10月までに全国の約半数の自治体が策定を終えると伝えられる。

石破茂地方創生担当大臣は、人口減少を「静かな有事」ととらえ、成長期の地域活性化とは前提が違うと危機感を強調する。総合戦略を進める新型交付金に加え、ビックデータを用いた情報提供や中央省庁からの人材派遣など、支援策は手厚い。それらが功を奏するかどうか、地方創生は自治体側の本気度が試される局面を迎える。

2015年10月12日

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1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏