日本の問題

「IT」から「IoT」へ

慶應義塾大学大学院教授
中村 伊知哉 氏

IT革命からほぼ15年。インターネットはブロードバンドになり、パソコンはスマホになった。Facebookやtwitterが普及してコミュニケーションは一変した。職場も産業構造も様変わりだ。
この大波に日本は乗り遅れた。IT産業は米西海岸の独壇場で、日本のメーカーは競争力を喪失。ITを使ったベンチャー企業にも米国ほど勢いはない。

ところが、もはや世界は次に進んでいる。IT業界の展示会は自動車とロボットが目白押し。デジタル技術で自動運転するクルマや、人工知能で賢くなったロボットが幅をきかせている。さらに、冷蔵庫や洗濯機がネットでつながって仕事をしている。

あらゆるモノがネット化し、賢くなり、自律的に働く。「Internet of Things」、モノのインターネット。それはもうITではない。クルマや家電など、ITをのみ込んだ新しいモノづくりが始まるということだ。これは日本にとってチャンスではないか。遅れを取り戻すのではなく、一足飛びに次の世界へ。しかもそこは、得意だったモノづくり分野。世界を驚かすモノづくりを復活させたい。

2015年5月25日

過去記事一覧

1961年生まれ。慶應義塾大学大学院 教授。政策・メディア博士。
ロックバンド「少年ナイフ」ディレクター、郵政省、MITメディアラボ客員教授、スタンフォード日本センター研究所長を経て 2006年慶應義塾大学教授。内閣官房知的財産戦略本部検証・評価・企画委員会座長、デジタル教科書教材協議会事務局長などを兼務。

米山(よねやま) 秀隆(ひでたか)氏