石油価格下落のインパクト
石油価格が2014年末から大きく下落している。2014年7月に月平均1バレル102・99ドルだったWTIの原油価格は2015年2月には50・72ドルまで下落、50%以上の落ち込みだ。アメリカのシェールガス採取の技術の展開によって、石油や天然ガスの価格が大きく下落し始めたのだ。「逆オイルショック」とも呼ばれるこの価格の下落は世界経済・政治の構造に大きな変化をもたらしている。
当然、この変化はエネルギー輸入国にはプラス、輸出国にはマイナスだ。ロシアの成長率は2014年の0・6%から2015年にはマイナス3・0%まで下がると予測されているし(IMF2015年1月の予測。以下も同様)、ブラジルも2014年は0・1%の成長率だ。他方、アメリカは順調で2015年には3・6%、ユーロ圏も1・2%。エネルギー構造の変化は世界経済の動向を大きく左右し始めている。
この流れはエネルギー輸入国日本にとっても朗報。エコノミストなどの予測では、2015年、2016年度は1・5%前後の成長が期待されている。2014年度のマイナス成長からの回復だ。
2015年5月4日
- 円安局面の終焉
(2015年4月6日) - 日本の格差問題は要注視
(2015年4月13日) - 上がらない実質賃金
(2015年4月20日) - クールジャパン
(2015年4月27日)
1941年生まれ。
1965年大蔵省(現財務省)入省。東海財務局長、大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局次長、国際金融局長を経て1997~1999年財務官。現在は青山学院大学教授、財団法人インド経済研究所理事長。
【財団法人インド経済研究所HP】