低金利時代
日本の10年国債の利回りが2%を切って久しい。現在は0.5%前後で推移しているが、再び1%を超えて金利が上昇する可能性は低い。アメリカの10年国債は2%を若干上回っているが、かつてに比べると低い水準であり、低金利は先進国共通だ。
一言でいうと、先進国経済が成熟したということなのだろう。各国とも低成長・低インフレの局面に入り、金利水準も低下してきたのだ。金利水準の低下は利潤率の低下の反映でもある。世界のフロンティアはほぼ開発し尽くされ、新しい産業も大きく伸びる状況にはない。この低金利は16世紀以来のものだといわれる。中世が終焉し、近代が始まる「長い16世紀(1450~1640年ごろ)」には山頂までぶどう畑がつくられ、農業生産性はほぼピークに達していた。産業革命までは、利潤率が低下し、利子率も低下し続けていたのだ。
21世紀も16世紀同様、利子率が低下している。「長い16世紀」から続いた近代資本主義が最終局面に入ってきているのだ。近代資本主義の終焉と歴史の危機だと水野和夫氏は言うのだが、ポスト近代の世界が一体どこにいくのか不透明なのだ。
2015年7月20日
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1941年生まれ。
1965年大蔵省(現財務省)入省。東海財務局長、大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局次長、国際金融局長を経て1997~1999年財務官。現在は青山学院大学教授、財団法人インド経済研究所理事長。
【財団法人インド経済研究所HP】