日本の問題

急増する空き家

富士通総研 上席主任研究員
米山秀隆 氏

2013年の空き家数は820万戸、空き家率は13.5%と過去最高となった。空き家で特に問題となるのは、空き家になったにもかかわらず、買い手や借り手を募集せず、そのまま置かれている状態のものである。周囲に悪影響を与えるなど現に問題となっている空き家と将来問題になり得る予備群が含まれ、計318万戸に達する。

空き家の撤去を進めるため、このほど「空家対策特別措置法」が施行され、特に状態が悪くなった「特定空家」の所有者に対し、指導、勧告、命令を行い、従わない場合は強制的に取り壊せるようになった。

勧告の対象になると、空き家の建っている敷地の固定資産税を引き上げるというペナルティも課せられる。住宅取得促進のため設けられた、住宅が建っていれば敷地の固定資産税が安くなる仕組みは、現在では危険な空き家でも撤去せず、そのままにしておいた方が税制上有利という弊害を生んでいたからである。

所有者は法律の対象にならないよう、コストをかけて管理することや、またはコスト負担を嫌って早めに処分するなどの対応を迫られることになる。

2015年6月15日

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1963年生まれ。
野村総合研究所、富士総合研究所を経て1996年富士通総研。2007~2010年慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員も務める。専門は、日本経済、経済政策、住宅・土地政策。
【富士通総研・研究員紹介】

米山(よねやま) 秀隆(ひでたか)氏