中国経済を覆う靄
社会経済学者・エコノミスト
斎藤 精一郎 氏
斎藤 精一郎 氏
世界経済の3大プレーヤーは、アメリカ、EU、中国だが、米国の利上げ問題、ユーロの構造的危機、中国経済の屈折が不透明な靄(もや)を広げている。中でもリーマン危機後の世界経済の停滞の中、経済成長を牽引してきた感がある中国経済がここにきて減速、さらに屈折しつつあることは世界経済にとっての関心事。特に日本経済にとって、中国経済の動静は重大な意味を持つ。
2000年時点で日本の貿易総額(輸出+輸入)に占める米国と中国の比率は各25%、10%だったが、今では13.3%、20.5%(2014年)と逆転し、日本経済にとって中国の影響は大きい。
中国経済は2009年に日本をGDP規模で越え、世界第2位に躍進。この「勢い」が衰え、さらに消えれば、日本をはじめ世界経済は大きな打撃を受ける。これが昨今の「中国リスク」だ。中国政府も認めるように中国の成長軌道は7%前後の「新常態」に入っている。緩やかな調整なら問題は少ないが、高度成長の反動は時にすさまじいほど大きくなる。日本のバブルはその好例。中国経済の今後の動向は、冷静に注視する必要がある。
2015年8月31日
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1940年生まれ。社会経済学者・エコノミスト。
1963年日本銀行入行。1972年立教大学社会学部講師に転身し、助教授を経て1980年教授。テレビの経済情報番組でコメンテーターも務める。1991年4月から2015年6月までNTTデータ経営研究所(株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所)所長。