日本の問題

一億総活躍

PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏

10月7日に発足した、第3次安倍改造内閣は「一億総活躍」を看板政策として掲げた。少子高齢化に真正面から挑み、誰もがもっと活躍できる社会の実現に政府を挙げて取り組むとし、内閣官房副長官を務めていた加藤勝信氏が担当大臣に就任した。

一億総活躍社会の実現を目指して、「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」という「新・3本の矢」が掲げられた。それぞれ「GDP600兆円」「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」という数値目標も示された。いずれも難易度の高い課題だが、「矢というよりは的では」という指摘もある。

具体策を検討するため、関係閣僚と有識者による「国民会議」が設置され、俳優業と子育てを両立し雇用政策にも関心を持つ菊池桃子氏が起用された。会議は年内に緊急対策をまとめ、2016年春、「ニッポン一億総活躍プラン」を策定する予定である。

また、厚生労働省など関係府省も「連絡会議」を開催した。こうした政策課題では府省間の縦割りが壁になるのが常であり、加藤大臣が「横串を刺す」力量を発揮できるかが問われる。

2015年11月2日

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1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏