ヨーロッパの構造問題
2009年10月の政権交代を機に始まった一連のギリシャ危機は2015年9月20日の総選挙後も収まる気配がない。ギリシャは2008年から2013年までマイナス成長が続き、2014年も0.77%の低成長だが、ポルトガル、スペイン、イタリアなどの南欧諸国もマイナス成長、あるいは低成長にあえいでいる。
他方、ドイツは比較的順調にプラス成長を続けている。2010~2014年の年平均成長率は約2.0%だ。フランスの歴史・人口学者エマニュエル・トッドは『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告』(文春新書・2015年5月)の中でヨーロッパの構造、特に共通通貨ユーロの存在はドイツが一人勝ちするシステムで、このまま「ドイツ帝国」が拡大し続ければ、いつかアメリカとも衝突しうると警告を発している。日本にとっても他人事ではない。
1999年のユーロ創設以前、ドイツマルクは日本円などとともに対ドルや対フラン、対リラで切り上がり続いていたが、今や共通通貨ユーロのもとで切り上げる必要がない。ドイツの一人勝ちはまさに、EU・ユーロ圏の構造問題なのだ。
2015年10月19日
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(2015年10月12日)
1941年生まれ。
1965年大蔵省(現財務省)入省。東海財務局長、大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局次長、国際金融局長を経て1997~1999年財務官。現在は青山学院大学教授、財団法人インド経済研究所理事長。
【財団法人インド経済研究所HP】