日本の問題

再生可能エネルギー

PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏

日本のエネルギー源は、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料が8割以上を占めており、その大半を輸入に頼っている。新興国の需要拡大や温室効果ガスの削減要請を受けて、枯渇することのない再生可能エネルギー(再エネ)の導入拡大が政策課題となっている。

東日本大震災後の2012年7月、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス(生物由来資源)などを対象とした固定価格買取制度がスタートした。これは再エネで発電した電力を向こう20年間、電力会社が購入することを義務づけて普及を促すものだ。

制度開始から3年後の2015年7月までに、国の設備認定の9割以上を太陽光が占めた。しかし、実際の買取電力量では6割強に止まっている。「空押さえ」状態を防ぐため、国は一定期間内に事業着手しない場合には認定を取り消すことにした。

太陽光偏重は、太陽光の買取価格が高過ぎたためとの指摘を受け、国は4度にわたって引き下げた。日本には風力発電の適地も多く、火山列島のため地熱利用の余地も大きい。太陽光から他の再エネモードにいかにシフトするかが次なる課題だ。

2015年12月21日

過去記事一覧

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏