公共施設老朽化
PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏
荒田英知 氏
これから人口減少が加速する日本で、避けては通れない問題がある。それは「公共施設(いわゆるハコモノ)の老朽化」である。
自治体庁舎、学校、図書館、公民館などの公共施設は日本が人口増加と高度成長を謳歌(おうか)していた1970年代を中心に建設されてきた。それらの多くが耐用年数を超え、今後、更新需要のピークを迎える。
対応策として求められる第1は「長寿命化」。耐震補強も含めて適切に補修することで、建て替え時期を延ばして費用を平準化する、いわば先送り策である。
第2は「転用・複合化」。廃校舎や空き教室を、介護などの福祉施設に転用したり、子育て施設や防災倉庫を併設するなどの動きが広がっている。国の補助金も絡む手続きの弾力化や簡素化が推進の鍵を握る。
第3が「削減・統廃合」。人口減少に見合う施設水準と比べて、大多数の自治体の現状は過大である。神奈川県秦野市は全国に先駆けて「公共施設再配置計画」をまとめ、「床面積の3割削減」を目標とした。
老朽化は、道路、橋、上下水道などの社会インフラでも生じる。「過去のツケ」をどのように分かち合うかが問われてくる。
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1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。