日本の問題

ブライト企業

ジャーナリスト
蟹瀬 誠一 氏

経済成長が実質ゼロなのに、日本のほとんどの企業が人手不足に悩んでいるのはなぜか。答えは「ブライト(bright=明るい)企業」が少ないからではないか。「ブライト企業」とは、老若男女誰もが楽しく働ける会社のことである。

具体的にはどんな企業だろう。官民挙げて企業ブライト化計画を推進する熊本県は次の5条件を挙げる。①従業員とその家族の満足度が高い。②地元を大切にした雇用や取引を実施している。③地域社会、地域経済への貢献度が高い。④優れた環境保全活動をしている。⑤黒字経営をしている。

なかなかハードルが高そうだが、この程度で驚いてはいけない。米国では、長期の育児休暇や無料の社員食堂だけでなく、なんと無期限の有給休暇を認める企業が増え始めているという。なぜなら従業員を大切にしている企業には優秀な人材が集まり、優秀な人材が集まる会社は業績も上がるからだ。これは極端な例だが、経営者と従業員の間に強い信頼関係が築かれていればこんなことも可能なのである。そのために不可欠なのは、経営者の揺るがぬ信念と決断力であることは言うまでもない。

2015年11月30日

過去記事一覧

1950年、石川県生まれ。
上智大学文学部新聞学科卒業後、アメリカAP通信社記者、フランスAFP通信社記者、アメリカTIME誌特派員を経て、1991年TBS「報道特集」キャスターとしてテレビ報道界に転身。国際政治や経済、文化に詳しく、現在もテレビ東京「マネーの羅針盤」メインキャスターなどを務める。

蟹瀬(かにせ) 誠一(せいいち) 氏