低成長・低インフレ時代
日本経済の成長率は1956~1973年度の高度成長期は平均9.1%、1974~1990年度の安定成長期は平均約4.2%だったが、1990年度以降は平均1%以下に低下している。時として「失われた20年」などと呼ばれることもあるが、これは日本が豊かになり成熟してきたことによる成長率の低下だった。当然、インフレ率も低下し、1990年度以降の平均は0.5%を下回っている。
日本のデフレーションなどといわれるが、低成長・低インフレは先進国共通の現象である。アメリカは先進国の中でも成長率は高いが、それでも過去5年間の平均成長率は約2.1%と1990年代の約3.2%、2000年代のリーマンショック前(2000~2007年)の約2.7%からかなり低下している。インフレ率も過去5年間の平均は約1.7%と1990年代、2000年代から低下している。EU諸国も同様。つまり、先進諸国は豊かになり成熟して、成長率もインフレ率も低下してきているのだ。象徴的にいえば、先進諸国は「豊かなゼロ成長の時代」に入り、インフレ率も低下してきているのだ。
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(2016年1月25日)
1941年生まれ。
1965年大蔵省(現財務省)入省。東海財務局長、大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局次長、国際金融局長を経て1997~1999年財務官。現在は青山学院大学教授、財団法人インド経済研究所理事長。
【財団法人インド経済研究所HP】