BRICS諸国の低迷
原油など天然資源の価格が急落し、資源輸入国・輸出国に大きなインパクトを与えている。資源価格の下落は輸入国にはプラスで、2015年の経済成長率はアメリカ約2.6%、ユーロ圏約1.5%と、それぞれ2014年より上昇の見込みだ(IMFの2015年10月の推計、以下同じ)。
半面、輸出国には大きな打撃で、ロシアはマイナス約3.8%、ブラジルはマイナス約3.0%の見込みだ。ロシアの2014年の成長率は約0.6%、ブラジルのそれは約0.15%だったので、2015年の天然資源価格の下落で3%以上の成長率の下落が起こってしまったわけだ。
中国は資源輸出国ではないが、このところ成長率が低下している。かつての10%強の成長率が2012年から7%台に下がり、2015年は約6.8%と予測されている。高度成長期は終焉し、安定成長期に入ったのだ。インドを例外としてBRICs諸国の成長率は大きく低下し、世界経済の構造が変わってきた可能性がある。資源輸入国であると同時に、工業製品の輸出国でもある日本はその動向を注視しておく必要がある。
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(2015年12月28日)
1941年生まれ。
1965年大蔵省(現財務省)入省。東海財務局長、大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局次長、国際金融局長を経て1997~1999年財務官。現在は青山学院大学教授、財団法人インド経済研究所理事長。
【財団法人インド経済研究所HP】