逆石油ショックのインパクト
原油価格(WTI)は2014年に年平均で1バレル93・13米ドルだったが、2015年には同48・75米ドルに下落し、2016年2月末には30米ドル強まで下がっている。他の天然資源価格もほぼ同様。鉄鉱石価格(中国輸入価格)は2014年には年平均で1トン96・84米ドルだったが、2015年には同1トン55・21米ドルに下落し、2016年2月には1トン40米ドル台で推移している。
1970年代の石油価格上昇による石油ショックとは逆の石油価格の急激な下落。「逆石油ショック」と呼べる現象だろう。
資源輸出国は当然大きな打撃を受け、2015年の成長率はロシアがマイナス3.7%、ブラジルがマイナス3.8%に落ち込み、2016年も厳しい状況が続くと見込まれている。
一方、資源価格の下落は資源輸入国には短期的にはプラス。アメリカ・ユーロ圏・日本などの2015年の成長率は2014年より上昇している。しかし次第に資源輸出国の影響を受け、アメリカの非製造業景況指数は2015年11月から下落。世界経済全体が弱くなっている気配だ。
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1941年生まれ。
1965年大蔵省(現財務省)入省。東海財務局長、大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局次長、国際金融局長を経て1997~1999年財務官。現在は青山学院大学教授、財団法人インド経済研究所理事長。
【財団法人インド経済研究所HP】