日本の問題

「酉騒ぐ」、2017年の株式相場は?

経済ジャーナリスト
大西良雄 氏

相場の格言では「申酉(さるとり)騒ぐ」。実際、申年に続く2017年酉年も株価乱高下の種は尽きない。

まずトランプ新大統領就任の米国。連邦債務上限法の制約下、「トランプ減税」とインフラ投資は実現可能か。米金利上昇とドル独歩高は持続可能か。トランプ氏の保護主義が世界経済の混乱をもたらさないか。

中国も気がかりだ。「トランプ相場」の後、中国の長期金利は米国以上に上昇(債券価格は下落)した。国債バブルの崩壊だという。資金流出は止まらず人民元下落も著しい。不動産投資にもブレーキがかかった。米中貿易摩擦が顕在化する懸念もある。

日本にも不安はある。円安に伴う物価上昇、株高、米金利に連動した長期金利上昇が続けば、長期金利誘導目標引き上げ、マイナス金利修正、国債購入圧縮など日銀の政策変更が2017年に課題になる。金融正常化が株価に与える影響は未知数だ。

米国の景気拡大が実現すれば2017年の日経平均は2015年のザラバ(売買立会時間)の高値2万952円を上抜こうが、リスクが表面化すれば1万6000円台へ下落という声もある。

2017年1月9日

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大西良雄 氏

1945年生まれ。
上智大学経済学部卒業後、東洋経済新報社入社。記者を経て、「週刊東洋経済」編集長、取締役出版局長、同営業局長、常務取締役第一編集局長を歴任。2006年に退任後、経済ジャーナリストとして独立。早稲田大学オープンカレッジ講師も務める。

大西(おおにし) 良雄(良雄)氏