日本の問題

第4次産業革命

PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏

6月2日、安倍内閣は「一億総活躍プラン」「日本再興戦略」「経済財政運営と改革の基本方針」を相次いで閣議決定した。共通するのは成長戦略の重視で、停滞感が出てきた「アベノミクス」を再度加速させようという狙いが読み取れる

その核となるのが「第4次産業革命」である。これはドイツが産官学をあげて進める産業技術戦略「インダストリー4.0」の日本版とされる。IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、AI(人工知能)、ロボットなどの技術革新が急速に進み、新たなサービスの創造や生産性の飛躍的な向上が可能になるというのだ。

一方、これらの技術革新に適切な対応を怠れば、2030年までに735万人の雇用が失われるとの試算も公表。人材育成や雇用の流動化など、第4次産業革命は日本社会に否応なしの変革を迫る可能性が高い。

人口減少による長期停滞が危惧されるなかで、変化をチャンスととらえて新たな成長フェイズに移行できるのか。産業構造審議会の報告書は「破壊的イノベーションが必要で、ジリ貧か変革かの決断が求められる」と語気を強めた。

2016年6月27日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏