日本の問題

リニア中央新幹線

PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏

東京-名古屋-大阪間を約1時間で結ぶリニア中央新幹線。長らく技術開発を重ねてきた夢の超特急が、実現に向けて動き始めた。時速500㎞を超える高速走行を可能にするため、車輪を用いない超電導磁気浮上走行方式を採用。すでに実用化に必要な技術を確立したと評価されている。

夢から現実への課題は財源にあった。国家プロジェクトとしては整備新幹線の建設予算が優先され、リニアは順番待ちに甘んじてきた。2007年、JR東海が全額自己負担で建設するとの英断を下し、東京-名古屋間を2027年に先行開業することを決めた。2014年には工事計画が認可され、すでに工事が始まっている。

東京と名古屋が約40分で結ばれれば、両都市圏はあたかもひとつの大都市のように融合し、大きな波及効果を生むと期待されている。また、高度な複合技術として海外への売り込みも目論まれている。

一方で危機感を強めるのが関西圏である。同社の資金繰りから、名古屋から大阪までの延伸は2045年になり、前倒しには公的資金が必要とされる。今後、どう巻き返すのかが注目される。

2016年4月11日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏