日本の問題

2016年の世界経済

青山学院大学教授、元財務官
榊原英資氏

2016年の世界経済を一言で述べるならば、「乱」ということだろう。IMFは緩やかな景気回復(2015年の経済成長率3.1%から2016年には3.4%へ)を予測しているが、2016年1月のこの予測は、その3カ月前の2015年10月から0.2%下方修正している。世界銀行の見通しは2.9%、これも2015年6月の予測3.3%から0.4%の下方修正だ。

BRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)の景気減速が順調に回復する見込みがたたないことが主要な理由だ。特にロシア・ブラジルなどの資源輸出国の状況が思ったように改善しない。世界銀行は、2015年6月時点では、ロシアは2015年のマイナス3.8%から2016年にプラス0.7%まで回復すると見込んでいたが、2016年1月にマイナス0.7%に下方修正。同様にブラジルも2016年の予想をプラス1.1%からマイナス2.5%に引き下げている。

先進国もその影響を受け、アメリカとユーロ圏もそれぞれ0.1%ずつ下方修正。そして、日本は0.4%下方修正されてプラス1.3%の見通しになっている。

2016年4月25日

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榊原英資 さかきばらえいすけ氏

1941年生まれ。
1965年大蔵省(現財務省)入省。東海財務局長、大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局次長、国際金融局長を経て1997~1999年財務官。現在は青山学院大学教授、財団法人インド経済研究所理事長。
【財団法人インド経済研究所HP】

榊原英資氏