統計改定で変わった景気の姿
富士通総研 主席研究員
米山秀隆 氏
米山秀隆 氏
12月8日に発表されたGDP統計の改定によって、「景気の姿」がこれまでとは変わった。新しい統計では、消費税率引き上げ前の2013年度の成長率が2.0%から2.6%に、引き上げ後の2014年度はマイナス0.9 %からマイナス0.4 %に、さらに2015年度は0.9%から1.3%にそれぞれ上方修正された。
消費税率引き上げ後の成長率の落ち込みは小さくなり、昨年度も1%台の成長率を維持した。税率引き上げのダメージからの回復は、より早かったことになる。今年度に入ってからも年率で1%台半ばの成長が続いており、景気は0%台半ばとされる潜在成長率を超え、底堅く推移している形となった。今回の統計改定では、これまで経費として扱われてきた研究開発費が設備投資に含まれることになり、2014年度は特にその影響で成長率のマイナス幅が縮小した。2015年度の上方修正は、速報段階で反映されていなかった消費の基礎統計が反映されたことが大きい。
景気は消費税率引き上げ後、現在まで低迷しているととらえられてきたが、必ずしもそうでなかったことが明らかになった。
2016年12月26日
- 円安局面の終焉
(2015年4月6日) - 日本の格差問題は要注視
(2015年4月13日) - 上がらない実質賃金
(2015年4月20日) - クールジャパン
(2015年4月27日) - 石油価格下落のインパクト
(2015年5月4日) - インバウンド効果で消費に春
(2015年5月11日) - 貿易黒字は定着するか
(2015年5月18日) - 「IT」から「IoT」へ
(2015年5月25日) - 2015年の景気回復
(2015年6月1日) - 内需型中小企業の海外進出
(2015年6月8日) - 急増する空き家
(2015年6月15日) - ニッポンの創造性
(2015年6月22日) - 減速する中国経済
(2015年6月29日) - 円安効果のプラスとマイナス
(2015年7月6日) - 遅れる在庫調整
(2015年7月13日) - 低金利時代
(2015年7月20日) - 日本のレストランがスゴイ
(2015年7月27日) - 「自治体半減」の危機
(2015年8月3日) - 物価の「基調」
(2015年8月10日) - 日本の駅がスゴい!
(2015年8月17日) - 高成長が続くインド経済
(2015年8月24日) - 中国経済を覆う靄
(2015年8月31日) - コンパクトシティ化
(2015年9月7日) - マンガ大国・ニッポン
(2015年9月14日) - AIIBとADB
(2015年9月21日) - 米利上げの功罪
(2015年9月28日) - 生産の国内回帰
(2015年10月5日) - 地方創生
(2015年10月12日) - ヨーロッパの構造問題
(2015年10月19日) - 増加する海外M&A
(2015年10月26日) - 一億総活躍
(2015年11月2日) - 格差社会アメリカ
(2015年11月9日) - 分譲マンションの老朽化
(2015年11月16日) - 公共施設老朽化
(2015年11月23日) - ブライト企業
(2015年11月30日) - 日銀の金融緩和のEXIT
(2015年12月7日) - 慎重な企業行動
(2015年12月14日) - 再生可能エネルギー
(2015年12月21日) - アメリカの「タイヤ伝説」
(2015年12月28日)
- BRICS諸国の低迷
(2016年1月4日) - 急増する民泊
(2016年1月11日) - 観光立国
(2016年1月18日) - 経済予測の的中率
(2016年1月25日) - 低成長・低インフレ時代
(2016年2月1日) - 控えめな春闘の要求水準
(2016年2月8日) - ふるさと納税
(2016年2月15日) - 「スモール」の美しさ
(2016年2月22日) - 近代資本主義の終焉
(2016年2月29日) - 物価上昇期待が低下
(2016年3月7日) - 北海道新幹線
(2016年3月14日) - 「食品ロス」を減らすには
(2016年3月21日) - 逆石油ショックのインパクト
(2016年3月28日) - 増加する耕作放棄地
(2016年4月4日) - リニア中央新幹線
(2016年4月11日) - 地方創生のカギ
(2016年4月18日) - 2016年の世界経済
(2016年4月25日) - 供給過剰の貸家
(2016年5月2日) - ゆるキャラ
(2016年5月9日) - 「金」の輝き
(2016年5月16日) - 円安から円高へ
(2016年5月23日) - 円高の設備投資への影響
(2016年5月30日) - 働き方改革
(2016年6月6日) - 幼児化する日本社会
(2016年6月13日) - ヘリコプターマネー
(2016年6月20日) - 第4次産業革命
(2016年6月27日) - 英EU離脱と円高株安
(2016年7月4日) - 料理王国日本
(2016年7月11日) - 所有者不明の土地
(2016年7月18日) - 都市の高齢化
(2016年7月25日) - 自社株買いと設備投資
(2016年8月1日) - ゲーム大国日本
(2016年8月8日) - グローバル化の逆回転
(2016年8月15日) - 鳥獣被害
(2016年8月22日) - イノベーションと失業
(2016年8月29日) - 減速する世界経済
(2016年9月5日) - 根強い新築志向
(2016年9月12日) - ワニの口
(2016年9月19日) - 不動産融資の曲がり角
(2016年9月26日) - 「黒田日銀」の正念場
(2016年10月3日) - デフレ脱却の意味
(2016年10月10日) - 政務活動費
(2016年10月17日) - 日銀ETF買い増額の功罪
(2016年10月24日) - 資源価格の下落
(2016年10月31日) - 公共投資の意義
(2016年11月7日) - 地域ブランド
(2016年11月14日) - 物価下落と春闘ベア
(2016年11月21日) - 憲法改正の議論を
(2016年11月28日) - マイナス金利政策の意味
(2016年12月5日) - 日本版DMO
(2016年12月12日) - 財政赤字いつまで
(2016年12月19日)
1963年生まれ。
野村総合研究所、富士総合研究所を経て1996年富士通総研。2007~2010年慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員も務める。専門は、日本経済、経済政策、住宅・土地政策。
【富士通総研・研究員紹介】