日本の問題

日本版DMO

PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏

年間訪日外国人観光客が初めて2,000万人を突破したことを受けて、政府は2020年に4,000万人、2030年には6,000万人と目標を大幅に引き上げた。その実現の鍵を握ると注目されるのが日本版DMOである。

DMOとは、Destination Management Organization(デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)の略で、地元の観光資源を活用して着地型の観光地域づくりを行う組織のこと。「地域の稼ぐ力を引き出す、観光地経営の舵取り役」と期待されている。

観光庁は、データに基づいた観光戦略を策定し、多様な関係者を巻き込む調整機能を備えた組織を育成すべく111法人を登録した。それらの多くが外国人観光客の取り込みを最大の課題としている。

これまで日本の観光産業は、付加価値が低いとされてきた。それだけに伸びしろは大きい。外国人観光客が殺到する、長野・地獄谷温泉の「スノー・モンキー」や山梨・下吉田の「富士山と五重塔」に続く事例を次々と生み出せるかどうか、DMOの力量が試される。

2016年12月12日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏