日本の問題

資源価格の下落

青山学院大学教授、元財務官
榊原英資氏

2014年末から資源価格が大きく下落している。きっかけはアメリカのシェールガス生産の急増だ。アメリカは天然ガス・原油を合わせると、すでに世界最大の資源国になっているのだ。

天然資源価格はこの供給の急増によって下落。2014年に1バレル=93.13米ドルだったWTI(西部テキサス原油)の価格が一時30ドル台まで下落。若干戻しているものの、2015年には48.75米ドル、2016年には41.24米ドル(2016年1~9月の平均)まで下がっている。

鉄鉱石価格も2013年の1t=135.36米ドルから2014年には96.84米ドル、2015年には55.21米ドル、2016年には53.61米ドル(2016年1~9月の平均価格)まで下落。資源価格の急落は資源輸出国経済を直撃し、IMFによると、2015年にロシアの経済成長率がマイナス3.73%、ブラジルがマイナス3.85%とマイナス成長に陥っている。

資源価格の下落は輸入国にとっては短期的にプラスだが、新興市場国の減速による世界経済の成長の鈍化は次第に先進国にも及んできている。

2016年10月31日

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榊原英資 さかきばらえいすけ氏

1941年生まれ。
1965年大蔵省(現財務省)入省。東海財務局長、大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局次長、国際金融局長を経て1997~1999年財務官。現在は青山学院大学教授、財団法人インド経済研究所理事長。
【財団法人インド経済研究所HP】

榊原英資氏