日本の問題

政務活動費

PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏

地方自治体の議会議員に支出されている政務活動費がまたもや物議をかもしている。2年前には、元兵庫県議の号泣会見で注目を集めたが、今回は富山市議会議員による領収書の偽造が相次いで発覚し、定数40人中12人もの議員が辞職する(10月3日現在)という異常事態になっているのだ。

そもそも政務活動費とは議員報酬とは別に、政策に関する調査研究費用として支出される。その額は自治体によって大きく異なり、都道府県や大きな市では年間数百万円に上るが、町村では十数万円程度にとどまる。必要性に応じて支出されるべき予算であるのに、使い切りが常態化し実質的に報酬化しているという指摘もある。

各議会はマニュアルに使途を定めているが、飲食費をどこまで認めるかなど、線引きがあいまいなことが多い。加えて領収書の開示方法やチェック体制もまちまちだ。

富山市といえば、コンパクトシティの取り組みが全国に知られ、多くの視察者を集めてきた。そのまちで起こった事件だけに、議会不信を増幅させ、地方自治への信頼を揺るがしかねない。早急な汚名返上が求められる。

2016年10月17日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏