日本の問題

料理王国日本

青山学院大学教授、元財務官
榊原英資氏

日本料理は今、世界的なブーム。パリやロンドン、さらにはニューヨークなどにも寿司店が多数あるし、また、寿司以外の日本料理も様々な形で供せられている。

肉や魚を濃いソースで食する伝統的なフランス料理も1970年代のヌーベル・キュイジーヌ(フランス料理のスタイルのひとつ)以来、より軽く、食材の味を生かすものに変わってきている。かつて多くの日本の料理人たちがヨーロッパに渡ってフランス料理やイタリア料理を学んだが、その時、日本料理の手法が伝わったのだろう。

かつて北大路魯山人がフランスに渡った時、食材が良くなければ、いくら料理の技術を高めても本当においしくはならないと語ったといわれているが、日本ほど食材が豊かな国は世界でも珍しいのではないだろうか。山菜や野菜、海だけではなく川からも獲れる多くの魚、そして和牛も美味である。昆布だしとかつおだしをベースにした味つけも世界の注目を集めている。

今、世界の料理も食材そのものの味を強調する方向に向かってきているような気がする。日本料理は世界の料理の基本になりつつあるといえるのではないだろうか。

2016年7月11日

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榊原英資 さかきばらえいすけ氏

1941年生まれ。
1965年大蔵省(現財務省)入省。東海財務局長、大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局次長、国際金融局長を経て1997~1999年財務官。現在は青山学院大学教授、財団法人インド経済研究所理事長。
【財団法人インド経済研究所HP】

榊原英資氏