日本の問題

減速する世界経済

青山学院大学教授、元財務官
榊原英資氏

世界銀行は6月7日に公表した「世界経済見通し」を、1月時に予測した2.9%から2.4%に下方修正した。原油をはじめとする主要一次産品価格の下落に新興国と途上国が適応しきれておらず、今回の下方修正の半分はこれに起因するという。

IMFも7月19日に4月の予測の3.2%を3.1%に引き下げている。2015年の成長率はロシアがマイナス3.7%、ブラジルがマイナス3.8%だったが、2016年もブラジルマイナス3.8%、ロシアマイナス1.8%との予測だ。

先進国は2014年1.8%、2015年1.9%、2016年の予測も1.9%と横ばいだが、新興国の成長率が2014年の4.6%から2015年に4.0%へ下がり、2016年も4.1%にとどまるという。中国も「10%成長」の時代はすでに終わり、成長率は6%台に下がっている。

南アフリカも2015年1.3%、2016年は0.6%との予測だ。BRICs諸国の中ではインドだけが好調だが(2015年7.3%、2016年予測7.5%)、1国だけ高成長を続けられるかどうか…。

2016年9月5日

過去記事一覧

榊原英資 さかきばらえいすけ氏

1941年生まれ。
1965年大蔵省(現財務省)入省。東海財務局長、大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局次長、国際金融局長を経て1997~1999年財務官。現在は青山学院大学教授、財団法人インド経済研究所理事長。
【財団法人インド経済研究所HP】

榊原英資氏