日本の問題

憲法改正の議論を

青山学院大学特別招聘教授、元財務官
榊原英資氏

衆議院でも参議院でも憲法改正に何らかの形で理解を示す政党の議員の総数が憲法改正の発議に必要な3分の2を超えた。両院で発議し、国民投票で過半数を超えれば憲法改正は実現できる。

ただ憲法改正に積極的だとみられる安倍晋三総理は今のところ改正の議論に踏み込んでいない。世論を見極めているのか、改憲を主張する各党の意見がかなり異なることに配慮しているのか、かなり慎重だ。

しかし、そろそろ積極的に憲法のどこをどう改正するか、広く議論されるべき時ではないだろうか。現行憲法は1946年(昭和21)2月4日から12日までの9日間でGHQの民政局によって作られた草案が基になっている。作成はいわゆるマッカーサー三原則(天皇陛下を元首とする・国権の発動たる戦争を放棄し、陸海空軍を持たない・華族などの「封建制度」を廃止する)をベースに行われた。GHQは日本が独立すれば、当然憲法は改正されるだろうと思っていたようだが、現在まで憲法はまったく変わっていない。先進国でも戦後憲法を変えなかったのは日本ぐらいしかない。改正の議論を始める時だろう。

2016年11月28日

過去記事一覧

榊原英資 さかきばらえいすけ氏

1941年生まれ。
1965年大蔵省(現財務省)入省。東海財務局長、大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局次長、国際金融局長を経て1997~1999年財務官。現在は青山学院大学特別招聘教授、財団法人インド経済研究所理事長。
【財団法人インド経済研究所HP】

榊原英資氏