日本の問題

都市のスポンジ化

富士通総研 主席研究員
米山秀隆 氏

人口減少に伴い、都市の内部で小さな穴が開くように、空き地や空き家が点在するようになる「スポンジ化」現象が進展している。都市密度が低下することで、まちの魅力や行政効率が低下したり、サービス産業が成り立たなくなったりするなど、コミュニティとしての危機に瀕している。

これまで都市計画は、人口が増加し都市が拡大していくという前提で、開発をコントロールしていくことに主眼を置いていた。制定後50年近くになる都市計画法には、空き地や空き家が放置されたままでも、その解消に有効な手立てはない。そこで国土交通省はこの2月に、新たな委員会を立ち上げ、この問題の検討に着手した。

空間の状態をコントロールする「エリアマネジメント」の仕組みの必要性が指摘されている。現に行われている一例としては、山形県鶴岡市におけるNPOつるおかランド・バンクがある。空き地を隣地の敷地拡張や道路拡幅に積極的に活用するために、NPOがコーディネートする仕組みである。官民が出資したファンドから資金補助される。こうした活動は、現在様々な形態のものが各地で現れつつある。

2017年4月24日

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米山秀隆 氏

1963年生まれ。
野村総合研究所、富士総合研究所を経て1996年富士通総研。2007~2010年慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員も務める。専門は、日本経済、経済政策、住宅・土地政策。
【富士通総研・研究員紹介】

米山(よねやま) 秀隆(ひでたか)氏