労働力不足と中小企業経営
経済ジャーナリスト
大西良雄 氏
大西良雄 氏
2016年12月の有効求人倍率(季節調整値)は1.43倍となったが、正社員の同倍率は0.92倍にとどまる一方、パートタイム労働者(以下、パート)の同倍率は1.73倍となり、労働力不足を牽引している。パートを含む有効求人倍率が2倍以上の「需給ひっ迫職種」は生活支援、介護、飲食調理、接客・給仕、自動車運転、とび、型枠工などだ。
これを受け昨年12月の3大都市圏のパート・アルバイトの募集時平均時給は1006円に達し、2013年12月に比べ4.9%上昇(リクルートジョブズ調べ)。パート・アルバイト依存が高いコンビニでは加盟店への人件費支援がかさみ減益が表面化、宅配業も減益に転じた。
中小企業への影響も大きい。東京商工リサーチによると、2016年の企業の休廃業・解散件数は2万9583件(前年比8.2%増)に上り、過去最多を更新。パート採用難、人件費圧迫が響き飲食、宿泊、非営利団体を含むサービス業、建設業、小売業などで休廃業が著しく、多くは中小企業とみられる。今後も後継者難や人手問題から倒産する前に廃業に踏み切る中小企業が増えると思われる。
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1945年生まれ。
上智大学経済学部卒業後、東洋経済新報社入社。記者を経て、「週刊東洋経済」編集長、取締役出版局長、同営業局長、常務取締役第一編集局長を歴任。2006年に退任後、経済ジャーナリストとして独立。早稲田大学オープンカレッジ講師も務める。