営業時間短縮で労働生産性が低下?
経済ジャーナリスト
大西良雄 氏
大西良雄 氏
スーパーの「24時間営業」店舗数が減少傾向を見せる一方、一部の外食産業でも「24時間営業」を深夜2時閉店に短縮し始めた。百貨店などでは営業時間を30分~1時間短縮する動きが出ている。さらに宅配便大手も正午~午後2時の時間帯指定を廃止するなど配達時間を短縮する。
営業時間の短縮は24時間営業を堅持するコンビニやネット販売にシェアを奪われ、夜間販売の効率が低下したためだ。労働条件が厳しいサービス業への就職を敬遠する動きへの対応という側面もある。
日本生産性本部が発表した、1時間あたりの付加価値額で表した産業別労働生産性の日米比較(2010~2012年)では日本のサービス産業の労働生産性は米国の5割程度にとどまる。とりわけ飲食・宿泊、卸売・小売業、運輸業などが低い。
営業時間の短縮は従業員の労働時間の短縮に直結する。労働時間の短縮が売り上げ減少による粗利益の減少につながればサービス産業の労働生産性はさらに低下する。それを避けるには料金の値上げや人員の効率的配置など付加価値の維持・増加をもたらす経営努力が求められる。
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1945年生まれ。
上智大学経済学部卒業後、東洋経済新報社入社。記者を経て、「週刊東洋経済」編集長、取締役出版局長、同営業局長、常務取締役第一編集局長を歴任。2006年に退任後、経済ジャーナリストとして独立。早稲田大学オープンカレッジ講師も務める。