日本の問題

買い物難民

PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏

地域の過疎化に伴い、流通や交通網が弱体化して、食料品などの日常の買い物が困難になった人々のことを「買い物難民」と呼ぶ。2015年には全国で700万人を超えたと推計されている。

対策としては、人口が減って既存の商店を維持できなくなった場合に、地元住民が出資する共同売店として存続させたり、これを自治体が支援したりする例が増加している。また、少し離れたスーパーなどに買い物バスを走らせる取り組みもある。

コンビニや外食チェーンによる宅配も始まる中、急伸しているのが移動販売である。生活に欠かせない物資をセレクトし、保冷もできる小型トラックに積んで地域を巡回販売する仕組みだ。当初は社会福祉法人などが手がけたが、最近ではビジネス参入が目立つようになった。

徳島市に本拠を置く「とくし丸」は、移動店舗を営む個人事業主と各地の地元スーパーをマッチングして全国38都府県に展開。昨秋には東京・高島平団地にも進出した。今や買い物難民は過疎地だけの問題ではなくなった。だからこそビジネスに立脚した解決が求められる。

2017年3月6日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏