日本の問題

地域通貨としての「ポイント」

富士通総研 主席研究員
米山秀隆 氏

地域通貨とは特定のエリアや商店で使えるお金である。商店などが発行するポイントもその一種と考えることができる。近年、地域の商店街では、大型店舗の進出に対抗するため、ポイントカードを共通化する動きが進んでいる。

たとえば、福岡県柳川市では2015年度から市内全域の加盟店で使える共通ポイントカード「やなぽ」を導入した。この取り組みには、行政が様々な活動に対して付与する行政ポイントも相乗りしている。市が行うイベントや祭り、各種講座、ボランティア活動、集団検診に参加した際に得られるポイントをカードに貯められる。市への転入には「転入者ポイント」、出生時には「出生者ポイント」もあり、今年度のポイント付与対象事業は28種類に達する。このほか、70歳以上の「見守り登録」をしている人には来店ポイントが与えられるほか、一定期間来店がない場合、安否確認を行う仕組みもある。

このように「やなぽ」は商店街の共通ポイントにとどまらず、行政が市民にしてほしい活動に対してポイントを付与することで、活動のインセンティブを与え、地域づくりへの貢献を促すものとなっている。

2017年7月18日

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米山秀隆 氏

1963年生まれ。
野村総合研究所、富士総合研究所を経て1996年富士通総研。2007~2010年慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員も務める。専門は、日本経済、経済政策、住宅・土地政策。
【富士通総研・研究員紹介】

米山(よねやま) 秀隆(ひでたか)氏