日本の問題

将来推計人口

PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏

日本の総人口が2053年に1億人を割り込むとする将来推計人口が公表された。国立社会保障・人口問題研究所が国勢調査の結果をもとに5年に1度改定している。将来推計人口とは、全国の出生、死亡、社会移動について一定の仮定をおいて人口規模や男女・年齢構成を推計したもので、その確度は極めて高いとされる。

1億人割れの時期は前回推計より5年遅くなった。これは近年の30~40歳代の出生率実績が上がったことを受けて、推計の前提となる合計特殊出生率が1.35から1.44に上昇したことによる。政府は「1億総活躍プラン」でこれを1.80まで高めたいとするが、実現への道のりは遠い。

65歳以上の人口のピークは2042年で前回と同じ。社会保障が正念場を迎えることになる。年金や医療・介護の給付水準を現状のまま維持することは困難になるだろう。

また、平均寿命は2015年の男性80.75年、女性86.98年から、2065年には男性84.95年、女性91.35年まで伸びる。人生90年時代が目の前だ。国の制度に加えて個々人の人生設計も大きく変わっていくことは間違いない。

2017年5月1日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏