日本の問題

日銀の「出口」

富士通総研 主席研究員
米山秀隆 氏

日銀(日本銀行)の保有資産が膨らむ中、いずれ2%の物価上昇が見込まれるようになった時、国債を円滑に売却できるのかという出口戦略の問題が意識され始めている。国債を売却する際、これまで低利回りで国債を購入してきた分、金利が上がれば(価格は下落)、売却損が発生し、日銀は債務超過に陥る。また、国債価格下落は保有している金融機関の経営をも揺るがす。

売却以外には、日銀の保有国債の一部を無利子永久国債と交換する案がある。保有国債が償還期限を迎えるごとに交換していけば、国は日銀に利息、元本の支払いとも不要となり、国の借金は棚上げされる。

日銀が国債を売らず市中のマネーを回収しない場合、インフレが激しくなり、途上国型の財政破綻に至る懸念もある。しかし、日本はGDP比2倍超の債務を抱える一方、金融資産が約1800兆円あり、過度な心配は不要との考え方も成り立つ。

保有国債を無利子永久国債という、いわば別会計に移し、物価上昇を待ち、数十年かけ実質残高を減らす。決して借金棒引きでないという認識を市場に与えることができれば、ひとつの選択肢となり得る。

2017年6月19日

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米山秀隆 氏

1963年生まれ。
野村総合研究所、富士総合研究所を経て1996年富士通総研。2007~2010年慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員も務める。専門は、日本経済、経済政策、住宅・土地政策。
【富士通総研・研究員紹介】

米山(よねやま) 秀隆(ひでたか)氏