日本の問題

円・ドルレートは再び円高か

青山学院大学特別招聘教授、元財務官
榊原英資氏

円・ドルレートは2011、2012年と2年続けて年平均で1ドル=80円を切る円高水準で推移した後、円安へと向かう。

2013年3月、日本銀行総裁に就任した黒田東彦氏が異次元金融緩和と呼ばれる大胆な金融緩和を実施すると、徐々に円安になり、2015年には年平均で120円を上回るまで(121円04銭)に円安が進んだ。

しかし、2016年以来、アメリカの景気が予想ほどは強くなく、利上げの回数が少なく緩やかなペースでの継続が見込まれ始めたことから、円・ドルレートは円高に動き始めている。2017年8月には月間平均で1ドル=110円を切って、その後は110~113円のレンジで動いている。

今後のレートの推移はアメリカ経済の動向や日本銀行の金融政策などによるのだろうが、アメリカ経済が依然思ったより強くなく、日銀も、また緩和政策からの出口を探っていることから、市場は緩やかなドル安・円高を予測し始めている。2017年末、2018年上半期には1ドル=110円を切る円高で推移する可能性は低くない。とすれば、レンジは105~110円になるのだろう。

2017年12月25日

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榊原英資 さかきばらえいすけ氏

1941年生まれ。
1965年大蔵省(現財務省)入省。東海財務局長、大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局次長、国際金融局長を経て1997~1999年財務官。現在は青山学院大学特別招聘教授、財団法人インド経済研究所理事長。
【財団法人インド経済研究所HP】

榊原英資氏