日本の問題

お独り様社会

PHP総研 主席研究員
荒田英知 氏

「標準世帯」という用語がある。夫婦と子ども2人の4人家族を指す。国勢調査によると、1960年には1世帯人数(一般世帯)は4人台で、これを前提に社会保障や行政サービスの制度設計がなされてきた。

その後、世帯人数は減少を続け、1990年には3人を割り2人台となった。2015年国勢調査結果では2.33人となり、単身世帯が34%を超え、世帯人数別で最多になるなど、大きく様変わりしている。

単身世帯が増加した背景に、晩婚化・非婚化がある。50歳まで結婚したことのない生涯未婚率は2015年で男性約23%、女性約14%。1980年代までは男女とも5%以下だったが、特に男性の上昇が目立つ。

もうひとつの要因が高齢化の進展。2015年で65歳以上の約6人に1人(17.7%)が単身生活をしており、男性約192万世帯に対して女性は約400万世帯と多い。平均寿命の延びから高齢者の単身世帯はさらに増加が予想されている。

こうした「お独り様(おひとりさま)社会」を前提に、社会の仕組みをつくり変える必要がある。そのためにはIoTやロボットの積極活用も考えるべきだろう。

2017年9月19日

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荒田英知 氏

1962年、福岡県生まれ。
1985年、鹿児島大学法文学部を卒業。同年、PHP研究所入社。各種研究プロジェクトのコーディネーターを務めた後、地域政策分野の研究に専念。2010年10月から現職。全国各地を数多くフィールドワークしている。

荒田(あらた) 英知(ひでとも)氏